琉装に込めた想い

幼い頃からアパレルデザイナーだった母の姿をみて育った私は、
自然に「私もファッションデザイナーになる」と志していました。

高校で染色を学んでいる時
重要無形文化財「型絵染」の人間国宝「鎌倉 芳太郎」氏の
存在を知りました。

沖縄文化の保存や復興をリードしたその方の残した資料を見て、
沖縄の染め織り物の虜になったのです。


京都に進学し、友禅や西陣織の優美な風合いに触れたとき、
沖縄の染色も引けをとらないことを確信しました。

劇団四季の衣装部への就職や、江戸小紋工房でのお仕事を通じて
知識と技術を重ねていたある時、
工房を訪れた外国人客が私に言いました。

「なぜあなたたちは着物を着ないの？」

その言葉は私にとって、とても考えさせられる一言でした。

「着物を着るには多く時間を要する」
私はいつの間にかそんな固定概念に囚われていたのです。

もっと気軽に着物を着れないだろうか？

そのことを考えたとき

琉球王府時代の礼服
「胴衣（ドゥジン）」と「裙子（カカン）」を思い出しました。

ボタンを閉めないシャツのような着方をするドゥジンと、
プリーツ巻きスカートのようなカカンは、
現代と伝統の融合した形だと気づきました。

『沖縄が世界に誇る染め織り物を後世に残していく』

そんな使命感を感じ
2004年に沖縄に戻り沖縄琉装苑を立ち上げました。

機能的で洗練された沖縄の染め織り物の世界観を、
今後も多くの皆様に伝えていきたいと思います。

沖縄琉装苑代表 石川真理